とある図書館員の個人的読書感想の留書き

今まで読んだ文学から実用書、専門書、漫画まであらゆるジャンルの感想覚書きです。本のあらすじは不必要に書きません。本を手に取って読んでほしいから。

あなたの知らないあなたの強み 古野利幸

昨年たまたま本屋で見かけたこの本。

その前に図書館でも見たのですが表紙が「宇宙兄弟」で、私はこの漫画は読まず嫌いしているので気にも留めなかったのですが、本屋でまた見かけてどんな本なのかパラパラしてみました。

すると奥付に無料FFS診断ができるURLとアクセスコードが付いていました。

はい、そうです、それ目当てです。

で、予約の順番を待ってようやくこの本を手にしたら…アクセスコードの部分は図書館が切り取っていましたー!(笑)

そりゃ、そうだよね(笑)

まあアクセスコードは2回以上使えないようにしてあるようですので、コードがついていたとしても最初に手にしないと使えませんね。

 

簡単なFFS診断はできるので、それで判断すると「南波日々人」で日本人ではまあ少ないタイプでした。

こういう人格判断系は試すとほとんど日本で少数派に分類されてしまいます。

さいころから「変わってるね~」って言われているし、若いころは特に人に理解されず、反対に私も日本人典型的な思考に「何でそう考えるの?」って思っていたので、結果を見ても「やっぱりそうきたか」と自分はどんな思考の持ち主なんだろうなーと楽しく読みました。

他の因子を持っているタイプの人の思考や行動も漫画を引用しながらわかりやすく説明していて、「あー、私こういうタイプは苦手だわ」って思っていた人が少しは理解できたかな?と思います。

 

あと、自分が日々人タイプでもその時の環境や感情で違う因子タイプの思考が強く出てしまうこともあるとのことで、苦手(=自分が持っている因子で弱い数値の因子特徴)部分の傾向も知れて、より自分の事を客観的に見れるようになったかも、とそんな気になりました。

 

たくさんの人と関わってお仕事されている方や、家族でコミュニケーションの擦れ違いを感じている方にも参考になる本だと思います。

 

☆☆☆☆

2020年6月 発行

2021年4月 完読

請求記号 159.4

 

 

東京どこに住む? 速水健朗

上京してから初めて自分で決めた場所に引っ越す事になった時に借りたのがこの本です。

上京前も「東京に住むなら23区内で西の山側しかない」と思っていました。

理由は、東側や海側は地震が来ると水に浸かるから、と思っているからです。

よくサンズイが付く漢字の地名や、谷が付く地名は水に浸かると言いますが、それにプラスして、やはり埋立地が多いイメージがあります。

でも個人的には東の上野が大好きなんです。

そのことを東京人に話したら「上野の地形は大丈夫だよ」って言ってくれたんですが、上野って家賃高いですよね…。

学生が住む街だから安いと思っていたのは浅はかでした。

で、結局西側が良いけど実際どこがいいの?って思って借りたのですが…、読み終わったのは引っ越し後かなりたった後…。

他にも本を借りているので、予約が付いた本を優先に読んでいたら、こちらの本は返却日が来たら返して再貸出しての繰り返しになってしまいました。

 

でもこのコロナの影響を受けた今だからなかなか面白く読めました。

まず「今は西高東低だが近い将来は東も高くなるだろう」と書かれていたこと。

東京は東から西へ向かって繁栄しましたが、その東の住宅建造物の老朽化時代を迎え再開発が盛んになり、オリンピックも後押しして高級住宅地化する。

とのこと。

いや、まさしくホントよね!

ネットに表示される新築マンションの広告とかほとんど東側ですもん!

実際にも(過去の事なんてわからないし)東側に住みたい!と思う若者が増えているというのもあるそうです。

 

そしてもう一つ気になった内容が、

アルビン・トフラー著書「第三の波」(1980年)でこのように予言したとのことです。

 

”われわれの生存中に都市の大工場やオフィスが空っぽになる”

将来的に交通のコストが下がり、コンピューターを通じた電子的な通信手段の発達によって、人はオフィスへ通勤することをやめ、好きな場所に住むようになり、電子会議を行い、自宅で仕事をするようになる、結果わざわざ家賃の高くて混雑した都市に住むわけがない。

 

速水健朗さんは「トフラーは都市関係の予言は外した」とこの本で述べていますが、今、まさに、予言的中してますよね!

原因がパンデミックとは思いもしなかったでしょうが…。

ちょっと判断が早かったかもですね。

 

コロナ禍になって1年経ちましたがコロナに関する書籍も多く発行さています。

コロナが収束して生活様式が落ち着いた頃に今のコロナ関連の本を読んでみると、どの専門家の予測が当たったか、って比較できて面白いかもしれませんね。

 

☆☆☆

2016年5月発行

2021年3月完読

請求記号361.7

 

名医は虫歯を削らない 小峰一雄

歯科医院、それはほとんどの人が行くのに勇気がいる場所である。

私もビビッて10年ほど行ってません。

何が嫌かって、歯を削る行為が怖い!

で、どうしたら歯医者に行かなくても良くなるか。

答えは虫歯を作らないこと。

でもこの本書いた先生、虫歯ができても削らないよ、って言ってる。

よし、読んでみよう。

って読んでみました。

 

まず、虫歯が自然治癒するらしくてびっくり!

私は虫歯と視力は自然治癒しないと思っていたので、目からウロコでした。

また、抜歯がガンの原因?とか、虫歯は歯の中から進む、とか。

何と、私の常識をくつがえすのか!ととても関心しました。

 

削らずに虫歯を治す方法はどうもいくつかあるらしく、この小林先生は「ドックベスト療法」を用います。

あー、これなら痛くなくて私でもできそう、って思ったので、私が虫歯を治療するときはこの療法を行ってる病院に行くことにします。

 

他に、虫歯が多い人は血管が弱っている、口臭がきつい人は免疫力低下、虫歯や歯周病になると体のどこかも悪い、がんやリューマチなど、と、へぇ~、と思うことが盛りだくさん。

 

一番悪いのは砂糖や炭水化物の取りすぎで、食事で治すにはアルカリ性の食物を食べて体質改善することですって。

 

よし、頑張ろう!明日から!

 

☆☆☆☆

2016年11月 発行

2000年7月 完読

請求記号 497

 

#虫歯#削らない治療#ドックベスト療法#医科歯科連携#

どうしても嫌いな人 益田ミリ

古本屋さんでたまたま見つけ、パラパラ読むと主人公のすーちゃんが、私と同世代の感じで、身近に感じ購入したコミックです。

すーちゃんのカフェの店長っぷりが私も接客業の店長やってた時に感じていたことで「わかるー」って思い、

すーちゃんのいとこのあかねちゃんの職場のことも「私が同じ立場なら同じこと思うー」って当時読みました。

 

読後「この等身大な漫画はなんなんだ、とても親近感湧くわ」とググったら、

これはシリーズものであること、益田ミリさんはエッセイも書いてらっしゃるとのこと。

ここから益田ミリさんのコミックとエッセイを結構読みまくり、

益田ミリさんに興味が湧きました。

年齢は私より上なのですが、絵や文章の表現が、「いま、ここ」を素直に感じながら歩いている方なんだろうな、と感じます。

 

私は「話が面白そうだから」の理由で読む本を決めることが多いので、

「この作家さんの人柄が好きだから」の理由で読む本を選ぶのは益田ミリさんだけなんじゃないかなー。

漫画では「この漫画家さんの絵が好き」って理由はありますけど。

 

益田ミリさんにお会いしてみたいなー。

今はコロナでないけれど、サイン会とかあったら行ってみようと思います。

 

☆☆☆☆☆

2010年8月 発行

2011~12年頃 完読

請求記号 726.1

 

 

 

いっしょにいると疲れる人 バーバラ・E・ホルト

実際に「この人と係わっていると、なーんか、疲れる…」って思っているときにこの本と出会いました。

副題が『「くされ縁」の人間関係の研究』とありまして、当時私が疲れるなぁって感じていた人とは出会ってもう20年経っていて、

一時期は連絡してなかったのですが、ここ最近連絡の取り合いが復活しました。

とにかく、この本に出会ったのも縁だな、と思い図書館で予約して読んでみることにしました。

 

うーん、心理学者が書いた内容を翻訳しているので、文章が固く、脳にあんまり入ってこない…。

3歩進んで2歩下がる読み方してたから時間がかかりました。

 

一緒にいると疲れる人=ヴァンパイア

とこの本では表現しています。

ヴァンパイアは生き血を吸って生き続けるので、生き続けるために「生き血=エネルギー」を吸える人物には執拗に付きまといます。

そして吸われている人は、もともとエネルギッシュの人が多いので1、2回くらい吸われても何ともないけど、

吸われ続けると生気も落ち、気付いた時はヴァンパイアよりもヨロヨロと疲弊している、とのこと。

 

ホントだよ!!それだよ!!

私は一人の時間が好きなのですが、毎日毎日連絡が来て、中身がない内容や同じことを質問しきて、それの対応に時間を費やしていたら、気付いたら毎日その人の事を考えるようになり、その考えているときが楽しかったら良いけれど、反比例してどんどん「つらい、疲れる、イラつく」って感情が膨れてきました。

そして最終的には仕事が終わった後の一人時間がやってくると

気分はふさぎ込み、じんましんが出るようになっていました。

じんましんがでて何週間か経った頃にやっと当時の私の渦巻いた感情に気付き、

「これはいかん、なんか吸い取られている気がする!距離取ろう!」

とズバッと距離を置きました。

(距離を置いて2週間くらいたってからじんましんが再発しないようになったので

やっぱりストレスが原因だったのでしょう)

 

そういえば、この人だけでなく、いままでお付き合いさせてもらった男性はほとんどが

このタイプ。

私からなんでも吸い取るタイプが多かったです。

今回のこの人も含めて共通点があることに気付きました。

こういうタイプは「依存型」で「他力本願」なんじゃないか、と。

自立していると自分で自分の必要なものを確保しようとして実行しますよね。

依存していると自分の必要なものは他人に用意してもらわなければいけないので他人のコントロールを実行してきます。

依存の強い方は他人が自分のために動くことが当たり前と思っているので

(無意識レベルでやっていると思います。※私の今までの人間関係で感じたことですので正しいかどうかは責任持ちません)、

自分の時間が他人に奪われ続けるとストレスが溜まる私とは相性が悪いわけだ、と

やっと今までの出会って縁が切れた人たちとの関係に納得できました。

 

人は一人では生きていけません。

だから人に頼ることは大切だと思います。

でも「お願いしてるんだからやってよ!」ってな感じで依存し始めるなら

相手も依存型の「共依存」だと関係は長続きすると思いますので、

そういう人を選んでいただきたい!!

でもお勧めしませんけどね、共依存の関係は…。

 

あとこの本では映画や物語、神話などを例に挙げており、

あらすじも載せて下さっているので、この本だけでいくつかの話を楽しめます。

 

☆☆☆

2001年4月発行

2020年12月完読

請求記号 316.4

 

 

 

薔薇はシュラバで生まれる 笹生那美

副題が「70年代少女漫画アシスタント奮闘記」とあり、表紙のイラストとバラ…。

これは、私が大好きな『ガラスの仮面』の事が描かれているに違いない!

と睨んで借りてみました。

手元に届き、中をパラパラチェックすると、やはり美内すずえ先生がいました!

アシスタントをやっておられたのもあり、絵も本当にそっくり!

この本を見ながら、当時ハマった、いいえ、今もハマっているガラカメの裏舞台はこうなってたんだ~、ってとても興味深く読みふけりました。

美内すずえ先生以外にも、70年代の人気少女漫画家さんの下でお仕事していたエピソードがたくさん載っていて、その先生の作画風で描いてくださっているので、何人もの作家さんでこの本が描かれているように思ってしまいますが、笹生さんのみで描かれております。

 

アシスタントをされていると、自分の絵も漫画家さんの絵に似てしまって自分の絵っていうのがなくなりそう、って思っていたのですが、これだけ描き分けられるのは逆に才能だと思います。

アシスタントを辞めて何十年も経っているのに、今でも同じ画風が描ける画力が落ちてないってところも、当時はどれだけの時間をかけて描いていたんだろう…とまさに想像してるシュラバがリアルに感じます。

(笹生さんは同人誌活動をやっているみたいなので、そちらで絵を描いていたかもしれませんが、それでも絵が崩れずに保っていられるのはすごいことだと思います。)

 

また、読んでてすごいな、って思ったのが、当時の人気少女漫画家さんとアシスタントさんたちは皆10代後半から20代前半の女性だということ。

自分の腕を信じ、体力と気力の限界を何度も感じながら乗り越えていらっしゃってるので、思考が実年齢の倍あってもおかしくないくらいしっかりされている方が多く、

「プロの世界ってどのジャンルでもすごい世界だ」

と深く感じ、20歳前後の自分に未熟さを痛感しました。

 

この本を読んでとても興味が湧いたのが、山岸凉子先生の『天人唐草』です。

読みたいけれど、結構昔の作品なので、ネット漫画になければ古本屋さんで探さねばなりませんね。

 

あとは、この本を読んだ美内先生が触発されてガラカメの続き描いてくれんかなぁと淡~い期待を持ちました。

もうぶっちゃけ描けなくてもいいから結末だけでも教えて欲しいっ!

 

☆☆☆☆☆

2020年2月発行

2020年11月完読

請求記号 726.1

 

 

不安を力に変えるゆるっと哲学 ただっち

哲学って面白いなぁと思います。

紀元前の頃から、世の中はかなり様変わりしているけれど、人の悩みは変わらず、何千年も悩まされています。

こんな長年の悩みにずっと振り回されている人とは、なんと成長しないんだろう。

しかもこうやって哲学者がそれぞれの視点で答えを出しているのに。

だから、昔は「哲学って難しそう」って思っていました。

大学の一般教養も哲学の授業はあったと思いますが、絶対わからないから取らない!って決めた授業の一つです。

確か社会学とか経済学とかの方がわかりやすそう!って思ってそちらは取りましたが、社会学って結局わからなかったなぁ。

「『社会』って結局何のジャンルの社会よ?いろんな社会あるじゃん、世の中って?」

って思ったわぁ。

世界が違っても変わりますし。

当時より大人になっていろんな世界を見て思うのは

「哲学の授業を取ればよかった」

ですね。

人生が長くなればなるほど色んな人と出会いますが、

人と出会うことによって

「そんな考え方をするんだ!」

って衝撃を受けたり、逆に人と自分を比較して

「私はこんな考えを持っていたんだ!」

って気付いたりして、それが嬉しく感じるか悲しく感じるかで、

「どうして嬉しくor悲しく感じるんだろう」

ってまた考えて。

そんな時哲学を知っていたら、自分の感情と折り合いが付きやすくて

自分のこと、もっと正確に知ることができるんじゃないかな、

って感じるようになりました。

 

この本はマンガで何人かの哲学者の代表的な哲学論を紹介していてとてもわかりやすいです。

でも哲学って奥深いので、何度も違う視点で読むことをお勧めします。

 

哲学を勉強することで人の思考パターンを知ることができますが、

その思考パターンに善悪はなく、

ただ

「(そんな思考が)存在している」

って前提で勉強すると固定観念にとらわれないと思います。

ゆるっと生きましょう^^

 

☆☆☆☆

2020年7月発行

2020年10月完読

請求記号 104