薔薇はシュラバで生まれる 笹生那美
副題が「70年代少女漫画アシスタント奮闘記」とあり、表紙のイラストとバラ…。
これは、私が大好きな『ガラスの仮面』の事が描かれているに違いない!
と睨んで借りてみました。
手元に届き、中をパラパラチェックすると、やはり美内すずえ先生がいました!
アシスタントをやっておられたのもあり、絵も本当にそっくり!
この本を見ながら、当時ハマった、いいえ、今もハマっているガラカメの裏舞台はこうなってたんだ~、ってとても興味深く読みふけりました。
美内すずえ先生以外にも、70年代の人気少女漫画家さんの下でお仕事していたエピソードがたくさん載っていて、その先生の作画風で描いてくださっているので、何人もの作家さんでこの本が描かれているように思ってしまいますが、笹生さんのみで描かれております。
アシスタントをされていると、自分の絵も漫画家さんの絵に似てしまって自分の絵っていうのがなくなりそう、って思っていたのですが、これだけ描き分けられるのは逆に才能だと思います。
アシスタントを辞めて何十年も経っているのに、今でも同じ画風が描ける画力が落ちてないってところも、当時はどれだけの時間をかけて描いていたんだろう…とまさに想像してるシュラバがリアルに感じます。
(笹生さんは同人誌活動をやっているみたいなので、そちらで絵を描いていたかもしれませんが、それでも絵が崩れずに保っていられるのはすごいことだと思います。)
また、読んでてすごいな、って思ったのが、当時の人気少女漫画家さんとアシスタントさんたちは皆10代後半から20代前半の女性だということ。
自分の腕を信じ、体力と気力の限界を何度も感じながら乗り越えていらっしゃってるので、思考が実年齢の倍あってもおかしくないくらいしっかりされている方が多く、
「プロの世界ってどのジャンルでもすごい世界だ」
と深く感じ、20歳前後の自分に未熟さを痛感しました。
この本を読んでとても興味が湧いたのが、山岸凉子先生の『天人唐草』です。
読みたいけれど、結構昔の作品なので、ネット漫画になければ古本屋さんで探さねばなりませんね。
あとは、この本を読んだ美内先生が触発されてガラカメの続き描いてくれんかなぁと淡~い期待を持ちました。
もうぶっちゃけ描けなくてもいいから結末だけでも教えて欲しいっ!
☆☆☆☆☆
2020年2月発行
2020年11月完読
請求記号 726.1